森と伐る道具
斧で伐る、鋸で伐る、チェンソーで伐る、重機で伐る。木を伐るための道具は時代と共に進化してきました。 石ころひとつから始まり大型の重機に至るまでの、伐る道具の変遷を調べてみましょう。
斧の時代
縄文時代
最初期の石斧
通称「にぎりおの」、磨製石器の一種。現代人から見ると単なる石ころ。
弥生時代
石斧
柄と刃先を平行につけた「縦斧」型。木材の伐採用に使われるように!
古墳時代
鉄斧
読めそうで読めない「てっぷ」。鉄の伝来は木を伐る現場に大きな革命を起こす。
飛鳥時代
鉄斧(土佐型)
鉄の加工技術が向上したことにより、現代まで続く斧の完成形が生まれる!
鋸の時代
飛鳥時代
初期の鋸
最初期の鋸は刃厚がありまだまだ切断が大変!
鎌倉時代
木葉型鋸
葉っぱを半分にした可愛らしい形は鎌倉時代の鋸の特徴。
室町時代
前挽大鋸
まえびきおが。幅広の刃のおかげで木を真っ直ぐに切断しやすい!
江戸時代
手曲鋸
江戸時代には伐るときにテコの原理で刃が木肌に食い込みやすい形に発展。
チェンソーの時代
昭和時代
初期の2人用チェンソー
最初期のチェンソーはなんと2人で両端を持って使うものだった!
昭和時代
初期の1人用チェンソー
初めての1人用チェンソー。大きく重たく使用に危険が伴った。
平成時代
現代のチェンソー
安全に配慮された現代のチェンソー開発に各メーカーがシノギを削る!
大型重機の時代
ベースマシン
昭和時代以降には待望の大型重機が登場した。ベースマシンと呼ばれる重機のアーム先端部分を交換することで林業や建築土木など、分野を横断して大活躍!
昭和時代
プロセッサヘッド
チェンソーなどで伐り倒した木を掴んで枝払い〜丸太加工までやれちゃいます。
平成時代
ハーベスタヘッド
立木を掴んでその場で伐倒!そのまま丸太加工まで1台で完結するプロセッサの上位互換!
参考文献
①竹中大工道具館 常設展示図録(発行:公益財団法人竹中大工道具館)
②水彩画で綴る大工道具物語 竹中大工道具館収蔵品(発行:株式会社朝倉書店)
③イラスト図解 林業機械・道具と安全衛生(発行:全国林業改良普及協会)
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