天竜の木を使ってみる
木こり活動レポート #5
今回の木こり活動は、天竜の森の伐り捨て間伐材を加工し、自分たちのオフィスで活用するまでのプロセスを体験します。森の原木が木製品となってオフィスに届くまでを自分たちの眼で確認しながら、木の伴走者となって見届けます。
2022年3月16日
静岡県浜松市天竜区のKicoroの森で、小型集材機を使った集材作業を行いました。木こり隊は、森の斜面に横たわるスギとヒノキの木を作業道のフォワーダまで人力で運び、森から下ろす作業を体験。チームに分かれて3本ずつ計9本を集材しました。
4月8日
Kicoroの森から2㎞の距離にある松野木材店で、製材所と家具製作所の職人さんたちと一緒に加工方法の打合せを行いました。Kicoroの森から持ち込んだ原木は、木こり隊が集材したものと合わせて計48本。傷みの激しい間伐材を最大限使いきることを優先し、板幅、木裏・木表の組合せ等を一緒に考えてもらいました。
6月27日
製材所から3kmの距離にある〈ひかべ家具製作所〉を訪ね、製品加工の様子を見学しました。今回のプロジェクトでは、ソーシャルディスタンスを確保したオフィスのレイアウト変更に使用するための600×1600㎜の木質パネルを48枚製作してもらいました。
6月4日にヒノキのパネル、7月9日にスギのパネルが天竜から東京オフィスに到着し、搬入・設置作業を行いました。デスクの間に木質パネルが設置されることによって、ウィズコロナに対応したオフィスレイアウトと、文字通り「森と向き合う」小さな仕掛けが完成しました。
今回の木こり活動はこれで終了しましたが、天竜の木を使う毎日はこれからが本番。マテリアルとして不完全な切り捨て間伐材を使うということは、自然の不便さと向き合い、自然との関わり合いの中から新しい価値や楽しみを見つけるための最初のレッスンなのかもしれません。
感じたこと、その先へ
木こり活動に参加したメンバーによるリレーコラム
すぐそこに変わらずあるもの。奈良で生まれ育った私にとって森は、窓の外を見れば当たり前に存在するものでした。身近に感じていた森ですが、なにも知らなかったと痛感させられました。森は変わらずあるのではなく、人によって守り、育まれるものでした。
今回、私は自分たちのオフィスで活用する木質パネル用の間伐材を森から運び出す「木こり活動」に参加しました。間伐材そのものの存在、間伐材が木工品となり私たちの手元に届くまでの工程。それにかかる労力と時間を目の当たりにし、初めて森が人によって育まれているものだと感じました。
次回帰省した時に見る森は、これまでに見てきた森と印象が変わっている、そんな気がします。
マネジメント・コンサルティング部門
古川明日香