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新林

天竜の森で植林について考えてみる

木こり活動レポート #4

300年以上続く天竜の森へ

2021年11月12日、木こり隊は静岡県浜松市天竜区で300年以上続く鈴木家の森にやってきました。12代当主の鈴木将之さんによって丹念に手入れされた森は、「天竜美林」の名に相応しい景観を形作っています。

午前中は、鈴木さんとKicoroの森の前田さんのお二人による、樹齢110年のヒノキの伐倒作業を見学。チェーンソーが届かないほどの大径木は、二手に分かれてロープと手動ウインチで引っ張りながら、慎重に寝かせていきます。

木を背にして伐倒方向を見上げる鈴木さん
伐倒方向を確認する

鈴木さん「この木は僕の曾祖父さんが植えた木。伐る時はいつも『曾祖父さんごめん、ありがとう』と言葉をそえながら伐っています。そして自分も、いつか自分が植えた木を伐る人に感謝されるような仕事をしたいと思っています」

受け口の入った太いヒノキの立木を囲んで話をする人たち

森林と都市をつなぐプロジェクト

苗木を手にした木こり隊と林業家の鈴木さんと木こりの前田さん

鈴木さんの森では、大径木や天然絞り丸太などの良木を育てるため、選び抜いた樹木から種を採取したり、挿し木を育てたりしながら植林を続けてきました。今回の木こり活動は、今では少なくなった種や苗を探すところからはじめる方法で植林を体験。森で見つけた種や苗木を自分たちで育て、天竜の森に還す長期プロジェクトを発足し、森林と都市に暮らす人々の新しい関係を見つけていきます。

苔むした切り株から生えていた高さ数センチほどの未生苗を指さしている
苔生した切り株から芽吹いた未生苗

さっそく午後から、苗木を探しに森を散策。未生苗(みしょうなえ)と呼ばれる、木から地面に落ちた種から育った苗を探し、苗をポットに植えて大切に持ち帰りました。

ポットに植えた苗木が並んでいる
木こり隊が植えた未生苗のポット

思いがけず都会生活をすることになった苗木たち。苗木が元気に育つには、都市に何が必要なのでしょうか。人も苗木も「都市で森を想うプロジェクト」のはじまりです。

鈴木将之さんプロフィール写真

鈴木将之
自伐林家/天竜で代々農林業を営む家に生まれ育つ。12代目当主。天龍林業研究会会長。60haの所有山林で杉、桧の育林、生産をしながら、山にある林産物を生かした多角的な経営を展開している。


感じたこと、その先へ
木こり活動に参加したNCM社員によるリレーコラム

人は自然に魅了されてきました。画家の東山魁夷は自然の奥深さを色遣いで表現し、作曲家のオリヴィエ・メシアンは鳥達の声を楽器で表現しました。なぜ、人は自然に魅了されるのでしょうか。私は、感覚が研ぎ澄まされ、自分自身と対話できる特別な場所だからだと思います。自然の中では光、風、音、匂いなどの色んな感覚が打ち寄せてきます。そして、それは徐々に体の中に染み入ってきます。私は、その状態が「しずか」であると思っています。例えば、色んな音がよく聴こえることこそ「しずか」なのです。その研ぎ澄まされた場所で人は、自分について考え、新しい感覚を見つけていくのでしょう。
 私も「木を伐る活動」で天竜の森に入って、何度もこの感覚に触れ、自分について少しだけ理解を深めています。ただ、すごく大事なことですが、「自然」とは何なのでしょうか。

マネジメント・コンサルティング部門
ディレクター 吉本圭二

天竜の森で植林について考えてみる 掲載号

新林 第4号の表紙

新林 第4号
森林の資源をつかってみる

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