森林をマテリアルとして捉え直す
森林資源を使ってみる #2
一見、木で埋め尽くされたように見える森林も、一歩足を踏み入れればたくさんの動植物が共生しているということがわかります。森林の価値を建材の産地として推し量るのではなく、森全体をマテリアルとして捉え直し、新しい価値を生み出すブランドを紹介します。
命をつなぎ、余すことなく使う
ジビエレザーブランド〈portierra〉
日本の森林では、年間60万頭もの鹿が深刻な環境破壊を引き起こす“害獣”として駆除され、鹿皮のほとんどが廃棄されている。日本有数の革の生産地、兵庫県たつの市にある株式会社A.I.Cでは、ジビエレザーブランド〈portierra(ポルティラ)〉を設立し、鹿皮を捨てることなく自然が育んだマテリアルとして社会に還元するものづくりに取り組んでいる。
ポルティラレザーの特徴は、環境負荷を極限まで軽減したオリジナルのなめし製法。クロム革より圧倒的に安全で、植物タンニン革では出せない柔らかさ。なめし上がりが白く、淡色での染め表現も可能になっている。
株式会社A.I.C www.portierra.com
靴用、鞄用、雑貨用、家具用のジビエレザーや鹿革のファーストシューズなどを販売。
皮の持ち込みによるなめし加工も行っている。
商品の購入はportierraのSHOPサイトにて
鹿革のファーストシューズはクレヨンハウスの通販サイトでも購入可能。
毎日の暮らしに「杉」を使う
木糸のファブリックブランド〈KINOF〉
放置人工林や切り捨て間伐の問題が取り沙汰されるなか、葉っぱビジネスで知られる徳島県上勝町の〈株式会社いろどり〉から、杉の間伐材を活用したファブリックブランド〈KINOF(キノフ)〉が誕生した。
KINOFでは、上勝町の杉から木の繊維(セルロース)を抽出し、和紙の原紙を細かく裁断して撚糸。木糸を横糸、国産木綿を縦糸にして織り上げたKINOFのオリジナル布から、タオルやスポンジなどの日用品を開発している。また、日本で初めて「ゼロ・ウェイスト(ごみゼロ)宣言」をした上勝町のプロダクトとして、パッケージを簡素化し、外しやすく分別しやすい作りにしている。
株式会社いろどり https://kinof.jp/
購入はKINOFオンラインストアほか、取り扱い店舗にて