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新林
今、木を伐る理由② 防災の関連画像

シリーズ今、木を伐る理由② 防災

国土の2/3を森林が占める日本において、自然災害から山林と人の暮らしを守る方法とは?

六甲山と都市で暮らす人々をつなぐ 公益財団法人 神戸市公園緑化協会

今、木を伐る理由② 防災

「都市公園、自然公園、緑地等の保全と多様な利活用の促進」を掲げ、さまざまな公益事業を推進する公益財団法人 神戸市公園緑化協会。その活動の1つが、2015年に創設された「六甲山もりづくり基金」による、六甲山の整備や六甲山材の活用や普及啓発だ。六甲山と市民との接点として神戸市公園緑化協会が果たす役割とは?

「六甲山もりづくり基金」の詳しい活動内容を教えてください。

「六甲山もりづくり基金」では、六甲山上地域を対象とした森の手入れ、〈KOBEもりの木プロジェクト〉等による発生材等の“森の恵み”の活用の検討、寄附金募集および六甲山の森づくりの広報PR活動の3つを柱に活動しています。六甲山上地域を対象とした森の手入れは、限られたエリアではありますが、六甲山を訪れるハイカーなど、多くの人が通るところを中心に少しずつ整備しています。2021年には、オルゴールミュージアム周辺や六甲有馬ロープウェー山上駅周辺の山道の整備として、生い茂った笹の刈込や枯れ松の伐採を行いました。

KOBEもりの木プロジェクトとは?

〈KOBEもりの木プロジェクト〉は、神戸市公園緑化協会が神戸市内の事業者と一緒に立ち上げたプロジェクトで、六甲山の手入れから発生した木材を有効活用する方法を考え、様々な木製品の試作やワークショップなどを開催しています。木製品の試作では、樹種ごとに色や香りが違う木の卵や、ヒノキのチップが練り込まれた粘土などを作っています。(*1)

クスノキ、モミ、サクラなどからできたたまご型の木製品。

(*1)2023年度から「木のたまごセット」と「六甲山森のねんど」として販売が始まった

六甲山材はどこで手に入りますか?

神戸市緑化協会が保管する板材。さまざまな樹種の板材が揃う

民有林の手入れから出た木材のうち、わずかではありますが長さ約4m幅40cmほどの板材にして条件を設けた上で提供する取り組みをしています。現在は、公共性の高いプロジェクトで使用すること、参加者に間伐材の活用の大切さが伝わる取り組みであること、六甲山材のブランド化につながるような取り組みであることなど、いずれかの条件を満たす内容に限って上限10枚で無償提供しています。

神戸市役所ロビーのベンチ
神戸市役所市民ロビーのベンチ
イチョウ、ホオ、ナラ、アベマキ、シイ、サクラ、クス、エノキ、モミ、ヒノキ、スギといった六甲山材を使用した多様な樹種で制作されたベンチが置かれている

六甲山材を提供した1番新しい施設は、2022年7月にオープンしたNATURE STUDIO(ネイチャースタジオ)というコミュニティ複合施設です。ここは廃校になった旧湊山小学校をリノベーションした施設で、六甲山材は、施設内の〈open air〉というクラフトビール専門店のバーカウンターに活用されています。そのほか、六甲山蒸留所やJR摩耶駅の一部、神戸市役所1号館1階市民ロビーのベンチなどにも提供しています。

今後の課題は?

神戸市公園緑化協会にて(写真左より)井川 健さん、野下彩香さん

ここ数年で地元産材の活用に対する企業の関心も高まり、問い合わせをたくさんいただくようになりました。六甲山材を扱う事業者との関係や間伐材の流通の仕組みを考える上で、今以上に木材を活用できるようにするには、関係主体が連携する新たな組織づくりは不可欠です。そのためにも六甲山材の普及活動に力を入れていきたいと思っています。

(2022年12月8日現地取材)

執筆者
神尾 知里
兵庫県出身。浜松市在住。浜松市内を中心にライターとして活動しています。

六甲山と都市で暮らす人々をつなぐ 公益財団法人 神戸市公園緑化協会 掲載号

新林 第6号の表紙

新林 第6号
今、木を伐る理由を考えてみる

#6を読む

シリーズ今、木を伐る理由② 防災

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