①模型で分かる架線集材
架線集材について知ってみる
架線集材は、規模の大きな集材方法がゆえ、私たちが実際の現場を訪れても、その全容を掴むのはなかなか難しいそうです。そこで今回は、奈良県フォレスターアカデミーで架線集材の講師を務める久住林業の久住一友さん監修のもと、模型を作成!どんな風に木が運ばれていくのか理解していきました。
教えてくれた人 久住林業 代表 久住一友さん
1980年大阪府生まれ。専門学校修了後、兵庫県の養父町森林組合(現・養父市森林組合)にて育林に従事。育てた木の収穫方法を習得するため、大川村森林組合(高知県)で架線集材を学び、林業架線作業主任者免許を取得する。その後、谷林業株式会社(奈良県)で架線集材班を作り人材育成を担当し、2016年に独立。現在は、奈良県フォレスターアカデミーほか各所で架線集材の指導を行っている。https://kusumi-forestry.com/
架線の名称と役割
模型は、日本で多く使われている「エンドレスタイラー式」の架線の張り方を簡易的に再現。
3本の架線の名称と役割を紹介します。
スカイライン
搬器が走行するためのレールの役割。空中に張り上げ全ての荷重を支える。主索とも呼ばれる。模型ではピンク色の糸を使用。
リフティングライン
搬器の滑車を通す架線で、緩めたり張ったりすることで、材の上げ下げの役割を果たす。模型では青色の糸を使用。
エンドレスライン
輪っか状(エンドレス)の架線で、搬器がスカイライン上を走行するための役割を果たす。模型では黄色の糸を使用。
架線を動かして木を運び出してみる
模型の架線を動かして、山中にある木がどのように集積所まで運ばれるか見ていきましょう。
①エンドレスライン(黄色の糸)を回して、空の搬器を木のあるスポットまで持っていく。
②吊るす木の位置まで来たら、リフティングライン(青色の糸)を緩めながら、木のある場所へフックを降ろしていく。
③木をくくりつけたら、今度はリフティングライン(青色の糸)を巻き上げながら、木を吊るす。
④エンドレスライン(黄色の糸)を最初と逆回しにして、吊るした木を土場まで運ぶ。土場まで来たら、リフティングラインを緩めて木を降ろして集材(1本目)完了!
動いている様子はこちら↓から!
シリーズ架線集材について知ってみる
架線集材について知ってみる
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