新林 第2号
天竜の森で木を運び出してみる
先人の知恵を、身をもって理解する
なぜ、機械化されたこの時代に、古来の方法や人力での作業にこだわり活動をしているのか と問われる機会が多くあります。答えはシンプルで「森林と向き合う原理・原則について、身をもって理解したい」からです。
これは私たちのような素人は、風の向き、力の流れ、匂い、音、足裏の感覚など、機械化された作業ではスピードが速すぎ、正しく理解することが難しいことと関連します。森林との関わりの原点をつくる活動としては、改めて先人の知恵に学びながら、個人の感覚を深めていく必要があると考え、このようなアプローチをしています。
100年先という時間尺度で考える
今回の特集では、4ヵ月前に伐った木を、急傾斜地から人力で運び出し、林道を経験的に理解する、私たちの活動をご紹介しています。この「運ぶ」ことを通し、人工林のボトルネック、山から里への流通の基本を理解しました。
併せて、「運ぶ」ことに焦点をあて、木材輸送の歴史、平成以降に導入の増えた高性能林業機械などをご紹介しています。歴史を学び100年先に時間尺度をセットし、森林を見てみると、現在の価値・技術では想像できない関わり方もみえてくるかもしれません。引き続き、「ふりかえれば、未来※1」という想いで、先人の知恵に学び、未来を見据えた新鮮な感覚で、新しい森林文化を耕していくことに貢献していければと思います。
※1歴史学者の木村尚三郎の言葉
サステナビリティ推進室 吉岡優一
【紙と製本のこと】
2号の冊子では、森林の環境保全に配慮したエコロジーペーパー「ポルカ」を使用しました。ピンクや青色の小さな玉が入っている楽しげな紙です。製本は「エコ・プレス製本」というもので、針金や糊を一切使用せず、強い圧力をかけて製本しています。針金や糊がないためそのままリサイクル可能です。
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