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シリーズちぐさ研究室の研究日誌

岡山県・西粟倉村で活動中の「ちぐさ研究室」によるちょっと本格的な実験や観察の数々

大人も夢中になる?虫網を使わない虫の捕まえ方②ピットフォールトラップ

ちぐさ研究室の研究日誌 #1

岡山県・西粟倉村で活動する「ちぐさ研究室」のお二人と、季節ごとに実験や観察を楽しむ連載。
初回は虫網を使わない虫の捕まえ方を、4回に分けて紹介していただきます。

○登場人物:川上えりか、清水美波(ちぐさ研究室) 植野聡子(新林編集部)

②ピットフォールトラップ

清水 次は、「ピットフォールトラップ」です。

ーー ピットフォール=落とし穴、ですか?

川上 そうです。地面に穴を掘って虫が落下するのを待ちます。

清水 主に地面を歩く飛ばない甲虫を捕まえることができます。構造自体は非常にシンプルなトラップですが、構造を工夫したりエサを色々試したりと、改良を試しやすいトラップです。運が良ければクワガタなどもかかりますよ。

ーー クワガタまで?これも楽しそうです!どのように仕掛けるのですか?

川上 地面に穴を掘り、地面と同じ高さに縁が来るようにプラコップを埋めたら、あとは落下を待ちます。雨が降っても落下した虫がおぼれないように、コップの底に穴を開けたり、牛乳パックでトラップの上に屋根を付けたりします。

清水 トラップ内にエサを仕掛けるとより虫が集まりやすいです。落ちた昆虫が汚れないように、ペットボトルキャップなどを使ってエサを宙に浮かせるとなお良し。エサは魚肉ソーセージ、煮干し、寿司の粉、果物、乳酸菌飲料などがよく使われます。今回はバナナを小さく切った排水溝ネットに包んで設置しました。
設置期間は1~2日が目安です。

ーー おぼれないようにしたり、汚れないようにしたり、罠だけど虫にも優しい仕掛けにみえます。どんなエサにしようか考えるのも楽しいですね。

川上 今回は6個設置して4個くらいかかっていました。そのうち1つにはコクワガタも!一度作ってしまえば何回も使いまわしができ、場所やエサを変えて採集状況の比較もできるので実験にもぴったりです。

頭部に光沢がある甲虫がかかりました。

清水 今回はバナナで誘引しましたが、アリが食べつくしてしまったトラップもあったので、エサについては改良や他のものを試してみる余地がまだまだあります。匂いに引き付けられるので、発酵させたものを使うと寄ってきやすいかもしれません。

ーー 何度も試しながら、仕掛けを改良していく工程も虫捕りの醍醐味になりそうです。
読者のみなさんも、トラップの作り方は下記を参考に、そして虫捕りの注意点もよく読んで行ってみてください!
(次回へ続きます)


ピットフォールトラップの作り方

[材料]
・プラコップ×1
・竹串×5
・ペットボトルのキャップ×1
・千枚通し
・キッチンバサミ
・排水溝ネット(なくてもOK)
・牛乳パック×1

[作り方]

1.プラコップの底に雨水を逃がすための穴を何か所か空ける

2.プラコップの上から3cmくらいのところに、円の真ん中を通るように穴を2カ所空ける 

3.ペットボトルキャップに竹串が円の真ん中を通るように穴を2つ空ける

4.竹串をキャップとプラコップに通して、キャップが宙に浮いているようにする

5.竹串を適切な長さに切る

[設置の仕方]

1.地面にプラコップがちょうど埋まる深さの穴を掘る

2.プラコップの縁が地面と同じ高さに来るように、プラコップを埋める

3.ペットボトルキャップに小さく切った排水溝ネットに包んだエサを乗せる

4.牛乳パックと竹串でトラップに雨が入らないように屋根をつける

5.1~2日放置して、回収する

コツ
地表を歩く虫は素早く逃げるのが不得意なので、日陰で周りに落ち葉が多い隠れやすいところに設置するとより集まりやすいでしょう。

撮影:Atsushi Akiyama


注意点

・私有地に設置するときは、所有者に許可を取りましょう
・公園等に設置するときは、管理者に許可を取りましょう
・設置したまま回収を忘れて放置してはいけません
・ハチや毒を持った虫が集まっているときもあります。採集するときは注意しましょう。
・捕まえた虫はその場で放すか、最後まで責任をもって飼いましょう。別の場所に放したり、飼っている途中で逃がしてはいけません。


参考文献
『博物館のプロのスゴ技で自然を調べよう (全4巻)』
少年写真新聞社
共著:小川 誠/奥山清市/矢野 真志
協力:西日本自然史系博物館ネットワーク
https://www.schoolpress.co.jp/topics/item/c-681_1.html

山岸健三,2006.昆虫採集と標本整理(昆虫の生物多様性調査と環境評価のために:2006年版).
http://www-agr.meijo-u.ac.jp/labs/nn006/entomol/manufacturespecimen.pdf

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