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シリーズちぐさ研究室の研究日誌

岡山県・西粟倉村で活動中の「ちぐさ研究室」によるちょっと本格的な実験や観察の数々

身近なもので骨格標本を作ってみよう! ③組み立てて観察しよう!

ちぐさ研究室の研究日誌 #6

岡山県・西粟倉村で活動する「ちぐさ研究室」のお二人と、季節ごとに実験や観察を楽しむ連載。
第6回の今回のテーマは「骨格標本」
身近なものと道具で骨格標本をつくってみましょう!
▷①骨格標本って作れるの?
▷②早速骨にしてみよう!
▶︎③組み立てて観察しよう!

○登場人物:川上えりか、清水美波(ちぐさ研究室) 植野聡子(新林編集部)

骨を組み立ててみよう

ーー 前回までの工程で、綺麗に肉の部分が取れた骨が出来上がりました!

川上 ここからは、いよいよ組み立て作業に入っていきます。手羽先は、インターネットや図鑑などで骨格構造の資料を簡単に調べることができるので、組み立て完成図を調べてから、作業を進めていきます。簡単に骨格構造の資料が手に入らない動物の場合は、除肉をする前の骨が繋がった状態の写真やスケッチを記録しておいて、組み立てる時に参照します。

※今回は、家で手軽に楽しむ実験として、軟骨と絡まった「手根骨」の部分の組み立ては割愛します。

清水 手羽先は1つ1つのパーツが比較的大きく、パーツの数も少ないので、今回は瞬間接着剤(透明ボンド)を使いました。接着剤をつけて圧迫するやり方で、根元の大きな骨から接着していきます。

清水 指先の小さな骨も、慎重に接着していきます。

清水 地道に1つずつ接着し、手羽先を実際の骨格に近い構造で組み立てることができました!

ーー おお〜。「骨格標本」になりました!なんだか感動しますね。

清水 せっかくなので、骨の各部位の名前を見てみましょう。

川上 第1指骨、第2指骨、第3指骨という3本の骨が、字のごとく指の骨です。確かに、鶏は人間と違い、3本指ですよね。

ーー 羽の先と思っていた部分は、指の骨だったんですね。

川上 その他にも、「中手骨」は、人間の場合手のひらを構成している骨で、5本ありますが、鶏は1本だけとなっています。鳥類は翼を支えるため、骨を軽量化したり癒合させたりすることで対応しているようです。こんな風に、骨の構造には、その動物の生き方や進化の特徴が反映されているので、骨の名前や役割まで調べてみると楽しいですね。

ーー 今回はとても小さな骨格標本でしたが、小さな骨格の中にも動物の特徴が観察できて、興味関心が広がりました!

清水 最近では、博物館などで展示用の骨格標本の製作作業に地域住民も一緒に参加できるイベントや、市民グループなども増えてきているようです。さらに興味が出てきた方、家での標本製作では物足りなくなってきた方は、ぜひお住まいの近くの活動を調べてみてくださいね。


おまけ:コイル留め
より細かいパーツが多く、接着剤ではすぐに壊れてしまうような動物の場合などは、ピンバイスや針金を使った「コイル留め」という方法で組み立てることをおすすめします。博物館の小型動物の骨格標本を観察してみると、こちらの方法が使われていることが多いです。

1. まず、ピンバイスで接合したい骨に小さな穴を開けます。

2. ピンバイスの根元の太い部分に、別に用意した針金の先を巻きつけます。

3. ラジオペンチで巻きつけた部分をつかみ、圧縮します。この部分が、針金の先端が穴から抜けないように留める部分になります。

4. 巻きつけた先端と逆の先端から、針金を接合したい骨に通し、反対側も同じように針金を巻きます。これによって、骨同士を頑丈に接合することができます。

5. できあがり!


注意点
死体や生肉には直接触らないようにします。また作業が終わったら入念に手を洗いましょう。

参考文献
標本の作り方-自然を記録に残そう- 大阪市立自然史博物館叢書②
著者:大阪市立自然史博物館(編著)/発行年:2007年/出版社:東海大学出版会

第39回特別展「ホネホネたんけん隊」展解説書「ホネで学ぶ、ホネで楽しむ」
編集:大阪市立自然史博物館/発行年:2009年/発行:特定非営利活動法人 大阪自然史センター

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