春の「雑草」探偵になってみよう! ②同定大会 花編
ちぐさ研究室の研究日誌 #3
岡山県・西粟倉村で活動する「ちぐさ研究室」のお二人と、季節ごとに実験や観察を楽しむ連載。春の今回は、あちこちで芽吹き始めた「雑草」を徹底調査!調査の様子を4回に分けて紹介していきます。
▷①「コドラート法」で調査してみよう!
▶️② 同定大会 花編
▷③ 同定大会 草編
▷④ 結果発表とまとめ
○登場人物:川上えりか、清水美波(ちぐさ研究室) 植野聡子(新林編集部)
調査スタート!
ーー さて、50cm四方のコドラートができました。
川上 いよいよ調査開始です!今日は制限時間90分間の中で、図鑑をつかって植物を同定(どうてい|何という植物か調べて特定すること)していきます。調査した日は、3月末のまだ春も始まったばかりということで、花が少なめで難易度が高そうな予感がしていますが、気合を入れて調査を始めて行きましょう!
ーー 確かに、花がついている方が見分けがつきやすそう。
川上 今回はナツメ社が出版する『野草図鑑』と『雑草図鑑』をお供にさせてもらいました。
川上 また、細かい部分を調べたいときのために、ルーペやピンセット、トレイもあると便利です。
ーー これで準備が整いました。図鑑はどのように使うのですか?
川上 草花の図鑑の多くは、「花」の色で見分けられるように整理されています。なので、今日は「花」がついている植物から調査を開始してみましょう!
川上 まずはこちらの青色の小さな花をつけている植物。
ーー この青い花はよく見かけるような…?
川上 花の色「青」で図鑑を開き、4枚の花びらがある植物を探してみると、、
ーー なるほど。まずは花の色と、花びらの数で見分けていくんですね。
川上 1ページ目で同じ花をつけた植物が出てきました!
ーー 幸先が良いですね!
川上 すぐ見つかってよかった。「オオイヌノフグリ」ですね。皆さんも一度は理科の授業で名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。
川上 同じ種の「イヌノフグリ」よりも大形であることが名前の由来とされています。青系の植物は少ないとされているので(図鑑の中でも10種(全464種)しかない!)、この子は比較的覚えやすいかもしれないですね。今回のコドラートの中では、出現頻度が一番高い植物となりました。
ーー これは、先日の柳沢先生のエッセイのなかにも出てきました。春の代表的な草花なんですね。
川上 次はこちら。
ーー ちいさーい白い花がたくさんついていますね。花びらの数は4枚…?
川上 花は小さく、見分けにくい印象ですが、花の横にある、上に伸びた部位が何だか特徴的です。こういった特徴的な部分があるとヒントになるのでありがたい…。
ーー ほんとだ!腕のような細い茎?のようなものが出ていますね。
川上 花の色「白」で図鑑を開き、似たような形を探します。
ーー 白い花は、青い花に比べてたくさんありそう…
川上 先ほどより時間はかかりましたが、見つかりました。「タネツケバナ」です。棒状で上を向いている部位の正体は果実で、種を飛ばす時期になるとぱっかーんと開いて種を飛ばすのだとか。
ーー ええー!面白い!
川上 稲の苗を植える時に、最初に稲の種子を水に漬けて発芽させて、田植えの準備をしますが、その時期に田んぼでよく花が咲くことが名前の由来になっている植物です。
ーー それで「タネツケ」バナなんですね〜
川上 ここまでは順調!次に、目だった花はついていないですが、比較的分かりやすそうな、このちょっと特徴的な部位のついた植物を調べます。
ーー なんだか稲穂のような植物ですね。
川上 どの部分が花なのかも分かりませんが、とりあえず「緑」で絞り込んで、図鑑を探します。運のいいことに、1ページ目で似た植物が出てきました!
ーー その名は?
川上 「スズメノカタビラ」のようです。白っぽい稲穂のような部分は、花が集まった「小穂(しょうすい)」と呼ばれる部位でした。「スズメノ」と名前に付いていますが、実際にはスズメは全長14.5cmもあり、とてもこの「カタビラ」(夏に着る単衣の着物)を着ることはできません。どこからこのお名前がついたのでしょうね、、。
ーー 小さなものが集まっている様子がスズメのように感じたのでしょうか…?
川上 ここまで立て続けに3種類、同定できました!しかし、やっかいなのはここからでした。
ーー 同定大会初級編はこれでおしまい、次は上級編ですね!
撮影:Atsushi Akiyama
シリーズちぐさ研究室の研究日誌
ちぐさ研究室の研究日誌
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