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シリーズちぐさ研究室の研究日誌

岡山県・西粟倉村で活動中の「ちぐさ研究室」によるちょっと本格的な実験や観察の数々

身近な「岩石」を調べてみよう! ④石調べのまとめ

ちぐさ研究室の研究日誌 #7

岡山県・西粟倉村で活動する「ちぐさ研究室」のお二人と、季節ごとに実験や観察を楽しむ連載。
第7回のテーマは「石」!ちぐさ研究室のお二人も専門外の石について、一緒に調査に出掛けてみましょう!

 ▷①どんな「石」があるか知りたい
 ▷②石の採集に行こう!
 ▷③石の種類を調べよう!
 ▶︎④石調べのまとめ

○登場人物:川上えりか、清水美波(ちぐさ研究室) 植野聡子(新林編集部)

前回のおさらい

川上 ここまでのおさらいをすると、西粟倉村の地質図から「泥質片岩」「玄武岩・溶岩・火砕岩」「花崗岩」「花崗閃緑岩・トーナル岩」「谷底平野・山間盆地などの堆積物」で構成されていることが分かりました。

西粟倉村の地質図)濃いグレー:泥質片岩/薄いグレー:玄武岩・溶岩・火砕岩/薄ピンク:花崗岩/濃ピンク:花崗閃緑岩・トーナル岩

そして今回の調査では「花崗岩」「玄武岩」と、鉱物の石英に分類できそうな岩石を採集することができました。

ちぐさ研究室による同定結果(推察)

石、難しい…!

清水 今回は、都会に住んでいても里山に住んでいても、恐らく毎日目にしている自然物の1つである「石」に着目してみました。調べてみて痛感したことは…石、難しい!!!

ーー 同じ種類であっても、見た目がかなり違っていたりして、本当に難しそうでした。特にどんなところが難しかったですか?

川上 岩石の種類の手がかりとなる、その場所の地質の情報は地質図naviなど便利なツールを使って誰でも入手することができます。でも、国内の多くの場所は西粟倉のように、複数の地質が入り組んでいる地帯も多いですよね。地質図で示されている地質と目の前に見えている岩盤が果たして同じなのか…?という、素人にとってはその場で確認ができない疑問に悩まされました。

清水 有名な景勝地のように、ここは確実に〇〇という地質!と分かっている場所などで、地質と岩石を確実に一致させながら、特徴を知っていく方法がいいのかもしれません…。

ーー 確かに、まずは地質が分かりやすいところで訓練していくのが良さそうです。

川上 また、露頭からの採取でも、渓流からの採取でも、岩石は風化(雨や風にさらされること)によって特徴が変化していることが多いです。この場合、色味や構成物の様子から正確に同定を行うのが難しいといえます。生まれたての状態を知ることができないということも、岩石を調べるうえでの難しいポイントの1つですね。

ーー 生まれたての状態がない、というのは面白い表現ですね。同じ種類の岩石でも時を経て多様な見た目になっていくのは人も同じかも…?
ところで、肉眼での同定が難しい岩石をもっと詳しく調べてみたい場合はどうしたら良いですか?

もっと詳しく調べるには?

清水 もちろん、どの地質から生まれたのか分からない岩石でも、風化の進んだ岩石でも、同定をする方法が存在します!

【偏光顕微鏡】
岩石の研究には、偏光という特殊な光を使って観察する顕微鏡が使われます。この顕微鏡を使うと、鉱物の種類を科学的に判別できたり、微細な組織を見ることができます。
岩石の一部である岩石片をスライドグラスに接着して、光を透過するほど薄く(厚さ0.03mmくらい!)研いで磨いた薄いプレパラートを作り、この顕微鏡で観察すると、岩石の正確な同定にぐっと近づけるでしょう。

川上 私たちも今回採集した岩石を、確実に同定してみたい!と思い、偏光顕微鏡を使った同定ができる場所を調べてみました。
西日本地域では、京都市の益富地学会館という施設で、顕微鏡を用いた岩石の鑑定依頼を行うことができるようでした。

益富地学会館ホームページ

清水 鑑定依頼ができるだけでなく、鉱物・化石・岩石の標本もたくさん所蔵されており、岩石の面白さをもっと知ることができそうです。私たちもぜひ、今回採集した岩石を持って鑑定に行きたいと思っています!果たして、今回の推定は当たっているのでしょうか?

ーー 今回の連載を通して石への興味関心も高まってきたので、私も行ってみたいです。鑑定結果が分かったらまた教えてください!

まとめ

今回は、私たちも全く知識ゼロの分野である、「岩石」の調べ方を勉強してみました。私たちが体験してきた樹木や昆虫の調べ方とは異なっている点が多く、とても苦労しました..。
岩石は、噴火や堆積など、とっても大きなスケールの現象から生まれています。身近な地域の中だけでも、多様な岩石を見つけられるということは、私たちの目に見えない地下の世界で数々の現象が起きていることを意味しているのだと思います。岩石に目を向け始めると、旅先などでもその土地の石の種類や成り立ちが気になってきそうです!皆さんも近所に落ちている石ころを拾って眺めてみるところから、石の世界に足を踏み入れてはいかがでしょうか。


注意点

  • 石を採取する時は採取場所の所有者に許可を取りましょう。

参考文献

シリーズちぐさ研究室の研究日誌

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