大人も夢中になる?虫網を使わない虫の捕まえ方④ライトトラップ
ちぐさ研究室の研究日誌 #1
岡山県・西粟倉村で活動する「ちぐさ研究室」のお二人と、季節ごとに実験や観察を楽しむ連載。初回は虫網を使わない虫の捕まえ方を、4回に分けて紹介していただきます。
○登場人物:川上えりか、清水美波(ちぐさ研究室) 植野聡子(新林編集部)
④ライトトラップ
川上 最後のトラップは「ライトトラップ」です。夜、自動販売機やコンビニの窓に虫がたくさん集まっている様子を見たことありませんか?夜間に光に集まってくる虫の習性を活かした方法がライトトラップです。
ーー なるほど!これはよく見る光景ですね。そういえば、そもそもなぜ虫は光に集まるんでしょう?
清水 夜に活動する虫たちは、太陽の紫外線を反射している月灯りを頼って活動している、と言われています。そこで、夜に紫外線を発している蛍光灯などを使って虫を集めることができる、というわけです。
川上 小型から大型まで様々な種類のガ、大型のものではクワガタやカブトムシ、またその他甲虫などを呼び寄せることができますよ。
清水 やり方としては、白い布を物干しや布団干しなどにかけて固定し、そこに蛍光灯ライトを当てて虫を引き寄せます。日没後の夜間に行います。
ーー 夜間の実験も楽しそうですね!西粟倉での結果はどうでしたか?
清水 日没直後、まだ薄暗い時間帯はカメムシやトビケラなど小型な虫が中心でしたが、暗くなるにつれ集まる虫の種類も数もどんどん増え、大型の甲虫やガなども集まってきて大盛り上がりでした。
川上 ヒグラシが光を太陽の紫外線と勘違いして鳴き始めるなど、それぞれの虫の習性を知る一面もあったね。
清水 道具さえホームセンターでそろえれば、設置作業は3人いれば5分程度で終わるくらいカンタンです。紫外線ライトを用意するのは少しハードルが高いですが、蛍光灯ライトだけでも十分集まるとのことだったので、とても手軽に多くの種類の虫を観察できる方法なのではないでしょうか。
川上 コツは、なるべく暗い場所を選ぶこと。近くに別の蛍光灯が点いている場所があると、そちらにも虫が寄って行ってしまいます。あとは辛抱強く待ちましょう!
ーー 辛抱強く!やってみます!
読者のみなさんもライトトラップのやり方は下記を参考に、そして虫捕りの注意点もよく読んで行ってみてください!
(秋の虫捕りの紹介はこれでおしまいです。次回は冬にお届けします。)
ライトトラップの作り方
[材料]
・布団干し
・白い布(今回は古カーテンを使用)
・白色蛍光灯ライト1~2個
・紫外線ライト1~2個(必須ではないが、あるとより虫が集まりやすい。)
・洗濯ばさみ
・電源
[作り方]
1. 布団干しを組み立てる。
2.布団干しに白い布をかけ、洗濯ばさみでとめる。
3. 電源につなげたライトを3箇所に設置する。
[虫の捕まえ方]
捕まえる道具や捕まえ方、コツなど。
①日没後、ライトを点灯させ、虫たちが白いシーツに集まってくるのを待ちます。
②飛んできた虫はしばらく激しく動き回ることもありますが、徐々に落ち着いて1か所から動かなくなってきます。そのまま手で捕まえることもできますが、容器を被せる形で捕まえると、虫の体を傷つけずに捕獲できます。
コツ
近くに別の蛍光灯が点いている場所があると、そちらにも虫が寄って行ってしまうので、なるべく暗い場所を選びましょう。あとは辛抱強く待ちましょう。
撮影:Atsushi Akiyama
注意点
・私有地に設置するときは、所有者に許可を取りましょう
・公園等に設置するときは、管理者に許可を取りましょう
・設置したまま回収を忘れて放置してはいけません
・ハチや毒を持った虫が集まっているときもあります。採集するときは注意しましょう。
・捕まえた虫はその場で放すか、最後まで責任をもって飼いましょう。別の場所に放したり、飼っている途中で逃がしてはいけません。
関連本
今回の記事ではご紹介できませんでしたが、採集した虫を持ち帰り、標本にして長く観察できるようにしたい!という方には、こちらの本がおすすめです。
「標本の作り方-自然を記録に残そう- 大阪市立自然史博物館叢書②」
著者:大阪市立自然史博物館(編著)/発行年:2007年/出版社:東海大学出版会
「増補改訂第2版 昆虫の図鑑 採集と標本の作り方」
著者:福田晴夫他(共著)/発行年:2020年/出版社:南方新社
https://www.nanpou.com/?pid=150683454
参考文献
『博物館のプロのスゴ技で自然を調べよう (全4巻)』
少年写真新聞社
共著:小川 誠/奥山清市/矢野 真志
協力:西日本自然史系博物館ネットワーク
https://www.schoolpress.co.jp/topics/item/c-681_1.html
山岸健三,2006.昆虫採集と標本整理(昆虫の生物多様性調査と環境評価のために:2006年版).
http://www-agr.meijo-u.ac.jp/labs/nn006/entomol/manufacturespecimen.pdf
協力:山岸瑞樹(認定NPO法人西中国山地自然史研究会専門員・世羅町地域おこし協力隊)
シリーズちぐさ研究室の研究日誌
ちぐさ研究室の研究日誌
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