新林 第9号
ちょうどいい森林資源の使い方

new forestory
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- 宮崎で見つけたちょっと未来の林業 ひむか維森の会
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- 木への愛着を育み森へつなげるショールーム 「MARUHON FUKUOKA」
- CLTでつくる森林と都市の新しいかたち MEC Industry株式会社
forest culture
- 春は野草を摘みに 〜柳沢教授の有用植物実習〜 ①座学編
- 春は野草を摘みに 〜柳沢教授の有用植物実習〜 ②採集編
- 春は野草を摘みに 〜柳沢教授の有用植物実習〜 ③実食編
- 山とジビエ②:天狗村ジビエ体験会 前編
- 山とジビエ②:天狗村ジビエ体験会 後編
FORESCOPE
木こり活動レポート
森と〇〇
少しだけ、背伸びをする
ロシアの心理学者レフ・ヴィゴツキー※1が提唱した「発達の最近接領域」という概念を京都大学・門内名誉教授から学びました。平たく言い換えてしまうと、少しだけ背伸びをする取り組み※2が子どもの成長を促すという理論ですが、私たちの日常のあらゆる場面で、同じような捉え方をすることができ、非常に驚きました。
この簡単に聞こえる「背伸びをする」ということが、個人化が進んだ社会の中でじわじわと難しくなっていると感じます。ヴィゴツキーは、人は他者と関わり、社会的状況の中でこそ発達=背伸びができるとも主張していますが、その共同性のかけがえのなさを改めて認識させられました。
本号では「ちょうどいい森林資源の使い方」というテーマで、主要大規模林業地である九州取材を行いました。森林に関わる事業経営を考える上で、安定的に年間仕事量を確保することは極めて重要になります。そのために持続可能な森林管理実践、事業継承を含む事業展開など、さまざまな時間軸での試行錯誤を知ることができました。そこには既存枠組に縛られず、ひとりでは、できないことに挑戦する共同体があり、それを支える人がいました。自然資本との関係において、地域の特性を踏まえ、少しだけ背伸びをしながら、ちょうどいい森林資源の使い方を模索する姿をお伝えできればと思います。
サステナビリティ推進室 吉岡優一
※1 Lev Simkhovich Vygodskiy(1896-1934)
※2 “ひとりでできること”と“他者の助けがあればできること”の間の領域が成長を最も促すとされている
【紙と製本のこと】
表紙:キュリアスマターN
本文紙:サングレイス(F)
変形ページ:小豆殻CoC
製本:ホチキス中綴じ
インク:ベジタブルインク
発行日:2025年11月30日
編集:サステナビリティ推進室
編集協力:植野聡子 野田奈未紀
デザイン:村上亜沙美
イラスト:友野可奈子
写真:鈴木陽一郎、神尾知里(p.14-15、p.25-27)
※提供写真除く
テキスト 神尾知里、小野奈津実(p.17-20)
植野聡子(p.21-24)、磯部有規(p.28-33)
鈴木陽一郎(p.40-43)
印刷:東海電子印刷株式会社
製本:株式会社ペーパークラフトイトウ
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