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シリーズちぐさ研究室の研究日誌

岡山県・西粟倉村で活動中の「ちぐさ研究室」によるちょっと本格的な実験や観察の数々

GISで、地図とデータと仲良くなろう! ④QGISでオリジナルのバス密度マップを作ろう!

ちぐさ研究室の研究日誌 #11

岡山県・西粟倉村で活動する「ちぐさ研究室」のお二人と、季節ごとに実験や観察を楽しむ連載。第11回のテーマは、「GIS(地理情報システム)」です。GISが無料で使えるソフトで遊んでみました。

 ▷①GISって?
 ▷②GISを扱うソフト「QGIS」を使ってみよう!
 ▷③QGISで地域の情報を地図にしてみよう!
 ▶︎④QGISでオリジナルのバス密度マップを作ろう!

○登場人物:川上えりか、清水美波(ちぐさ研究室) 植野聡子(新林編集部)

川上 今回は、2つ目のテーマである②岡山県内で、バス停の密度が高い地域はどこか?を可視化してみようと思います。単純化のため、2022年のみのデータを使います。


バス停の密度が高い地域を可視化してみる

ここから、QGISならではのツールを使っていきます。

①区分内のバス停の数をカウント属性に設定する
前回の地図の画面で、上部のメニューから「ベクタ」→「解析ツール」→「ポリゴン内の点の数」をクリックします。

岡山県バス停分布マップ(2022年)のメニューから「ポリゴン内の点の数」を選択

ここでは、簡単に言うと岡山県の境界データの1つの区分内(例えば真庭市など)の中にある、点(バス停)の数をカウントしてくれます。「ポリゴン」を「市町村境界データ」に、「ポイント」を「2022年_バス停留所」に設定します。「カウント属性名」には、バス停の数の計算結果が入るので、「バス停の数」など分かりやすい名前をつけて、「実行」を押します。

「ポリゴン内の点の数」を選択後、「ポリゴン」、「ポイント」、「カウント属性名」を設定する

全体が茶色で塗りつぶされ、左のレイヤ一覧に「カウント」が追加されました。

市町村ごとのバス停数が計算され、新しく一つのレイヤデータが作成された

②バス停の数を市町村の面積で割ってみる
ここからあとひと息です。この「カウント」を右クリックし、「属性テーブル」を開きます(第3回参照)。下のような画面が開くので、上部のメニューでそろばんのマーク(フィールド計算機)をクリックします。

「カウント」から「属性テーブル」を開き、上部メニューからそろばんのマークをクリックする

ここで、先ほどのバス停の数を地図上の市町村の面積で割った「バス停密度」を計算するための設定をします。
「出力フィールド名」を「バス停密度」、フィールド型は「小数点付き数値 (real)」に設定し、左下枠の「式」のスペースには「”バス停の数”/($area / 1000000)」という式を入力し、「OK」を押します。

フィールド計算機でバス密度を計算するための設定を入力する

この状態だと変更が保存されていないので、左上の鉛筆マークを押して変更を保存し、地図画面に戻ります。
これで、「カウント」のレイヤに、「バス停密度」のデータも追加されたはずです。

③バス停の密度に応じた色を設定する
バス停密度に応じて色分けするために、「カウント」を右クリックしてプロパティを開きます。「①シンボロジ」の設定で、一番上(②)を「連続値による定義」、その下の値を「バス停密度」に設定します。
どういう間隔で密度の値を表示させるかを設定するため、7つの分類モードから選んで設定ができます。今回は、「③自然分類」と呼ばれる、データの分布の変化量が大きいところを区分する設定にし、分類数は5つにしました。

これで、分類ボタンを押すと、このように分類の色とそれぞれの値が正確に表示されるはずです。
ここまでできたら、適用を押します!

レイヤプロパティから「シンボロジ」で色の設定をする

④レイヤーの順番を調整する
ついに、岡山県内のバス停の密度が可視化できました!が、このままだとバス停の位置が下に隠れてしまうので、「レイヤ」の中で2022年のバス停データを一番上に持ってきます。

「レイヤ」の順序を変更する
2022年のバス停分布と密度マップ

バス停密度が高い市町村は、県南部に集中しており、県北部の市町村はバス停密度が非常に低いことが可視化できました。今のままではどの場所がどの市町村か別途地図を見ないと分かりませんが、「カウント」レイヤを右クリックし、「ラベルを表示」させると、市町村名も表示させることができます。(※初期設定では全部岡山県と表示されますが、プロパティ→ラベルの設定で、値を「N03_004(市町村名のデータが入っている場所」を指定すると、市町村名に変更できます。)

清水 確かに気になりますね!例えばその疑問に対して、人口密度や企業密度、電車の路線といったデータと比較してみるとまた新しい気付きがあるかもしれませんね。

川上 はい、組み合わせるデータによって、植野さんの注目したような地域間の違いをより詳細に見ることができると思います。3つ、4つ…とデータを組み合わせていくとよりオリジナルの地図が作れそう! 

清水 確かに!めちゃくちゃ使いこなせるようになったら、徒歩5分以内でバス停に行ける場所で家を探すためのツールとして、QGISを活用する、といった日常生活に役立てる使い方もできるかも…。

川上 初めて使う時にはどこをどういじったらいいのやら…と困惑してしまうかもしれないけど、簡単な機能や、身近なデータから使い始めることがおすすめだね。


さらにGISを活用したいときは

もっと使いこなしてみたい!複雑なマップも作ってみたい、という方向けに、いくつか参考情報をご紹介します。

1. 『GIS入門 この一冊で「統計マップ」が自在に作れる』中島円著 べレ出版 https://www.beret.co.jp/book/47933

今回の連載でご紹介したQGISを対象に、基本操作からGISの原理、様々な地図の作り方やアレンジの手法までが網羅的に解説されています。今回の連載では説明しきれなかった、GIS上で扱うデータや用語などについても、分かりやすく説明が掲載されています。個人的には、スギの植生分布とスギ花粉の平均飛散日の等値線図を重ねる分析にぐっときました。

2. QGIS LAB https://qgis.mierune.co.jp/

QGISのプロフェッショナルである株式会社MIERUNEが運営している、QGISに特化した総合情報メディアです。QGISの様々な活用方法や、QGISの使い方に関するセミナー開催情報などをキャッチすることができます。
北海道内の信号の数の数え方から、災害リスク情報の立体的な表示まで、多様な活用方法が掲載されているので、自分の興味や使用目的に応じて参考にすることができます。


川上 今回は、どこに住んでいる方でも身近に感じやすいバス停という題材を選びましたが、私たちは普段、調査地点や見つけた樹木の可視化に使うことが多いです。このツールは自然関係のデータを表したり、まとめたりする上でとても便利なので、野外で活動をするのは苦手…という方にとっても、データを通じた自然との関わりしろ、として機能すると思うんです。

清水 私は治山堰堤(ちさんえんてい)という、土砂流出を和らげるためのダムの位置を記録し、QGISを使って情報を集約しています。西粟倉村のどの地域に多いのかを知ることはもちろん、施工年や建設した事業体もマッピングすることができて、データを集めきったらそれらをきちんと分析したいなと思っています。

堰堤(えんてい)マッピング:青が調査済、ピンクが未調査
調査した堰堤の一つ

川上 今回も、マニアックな内容についてきていただきありがとうございました。みなさんもぜひQGISを使って、おうちの周りの建物や自然についてオリジナルの地図作りに挑戦してみてください!

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